「もらったら得、与えたら損」という「損得勘定」は、目に見える物質的なモノの多寡を基準とした見方である。しかし仏教では、与えたら損をするのではなく、徳を積めるとする。「得」が物質面の増減に着目するのに対して、「徳」は精神的な豊かさを測る基準と言っていい。すなわち「貧しさ」と「豊かさ」が、「得」ではなく「徳」の多寡で測られるようになったとき、その人の視野の中に、肉眼で見える世界だけでなく心の世界も入ってくるようになるのである。
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