本格的な実業家デビューはもっと後になります。義理の兄と羽鳥総業という会社を立ち上げたんです。でも、そこは下請けでしたから、商売の面白さを味わうにはいろんな改善策が必要でした。とにかく、下請けだから儲からないんですよ。どれだけ夜遅くまで頑張ったとしても、自分の意志と力で売上を伸ばすことができないのが下請けの運命。やはり直接お客さんとつながるような商売の仕方をしないといけないということで、ひとまず懸架重量7トンのクレーン車を一台購入しました。で、朝5時に起きて、道という道をパトロールする。するとね、ガードレールにぶつかった車とか、田んぼに落ちてしまった車とか、手がつけられなくて困っている車があちこちにあったのです。それを拾い上げて、お客さんからクレーン代をいただいていたのですが、やがてはトラックなどのような大物の依頼も飛び込んでくるようになりました。最後には25トンまで対応可能なクレーンを入れて、重機を中心にクレーン業を広げていったほどですから。

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