以前、諏訪中央病院で、末期の癌を抱えた患者さんがいました。彼女はレストランの経営者でした。それなのに半年間、癌との闘いで、大好きな料理をいっさいつくれない状態でした。彼女は僕に、「もう一回料理をつくりたい」といいました。そこで僕たち病院のスタッフは、彼女のために何ができるかを考えて、病院で厨房を用意し、彼女にフランス料理をつくっていただきました。彼女は本当に嬉しそうに、こういいました。「ありがとう」。普通に考えると、病院で料理ができるなどとは誰も思いつかないでしょう。でも、目の前の人がこうすると喜ぶのではと考えて、その期待に誠実に応えて差しあげる。そこで必要なのが想像力であって、またサプライズなんだと思います。

- 鎌田實 -

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