私も経営者になりたての頃は、研究開発、製造、営業に忙しい日々を過ごしていましたが、経理については素人で、ベテランの経理部長に任せていました。あるとき彼と、次のようなやりとりがあったことを記憶しています。私が「利益は出ましたか?」と訊ねたところ、部長は「売上の一割程度の利益が出ました」といいます。そこで「そのお金はどこにあるの?」と聞くと、彼は「お金はありませんよ。まだ売掛金のままですから、税金は銀行から借りて払います」と答えるではありませんか。いわゆる「勘定合って銭足らず」という状態です。つまり、一割程度の税引前利益が出ていても、場合によっては資金繰りが苦しくなります。手元のキャッシュが少ないようでは、経営戦略上も有効な次の一手が打てません。

- 稲盛和夫 -

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