私は、若い事業家が失敗して、駿河銀行に救済を求めに来ると、肩をたたき、親身になって再起の方法を考えてやった。金を貸してやったが良いと思えば貸してやるし、貸さぬ方が良いと思えば貸さないで再起の道を示した。金を貸すばかりが銀行家ではない。知恵も増し、緩急よろしきを得た忠告もしてやるのが真の銀行である。これは私の60年以上に及ぶ頭取生活から得た尊い体験である。

- 岡野喜太郎 -

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