かつては、京都吉兆にも失敗を極度に恐れる空気が漂っていました。あるとき料理にふさわしい器を探して箱を開けたら、目当ての皿が割れていたことがありました。どうやら従業員が割ってしまい、叱られるのを恐れてそのまま箱のなかに隠していたようです。正直に報告してくれたら、あらかじめ新しい皿を用意することもできたはずですが……。ここで黙っていた従業員を責めても仕方がありません。もちろん皿を判ってしまって、それを隠すのはよくないことですが、問題なのはむしろ、失敗を言い出せない雰囲気をつくっていた職場のあり方です。
- 徳岡邦夫 -
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