我々がとかく目を奪われがちな数字があります。全体の平均値です。人間は、一番大きな数字や平均値にとらわれやすい傾向があります。平均値はある対象をある時点で断面にし、量的に捉えるにはひとつの目安になります。A社とB社を比較するときには、それぞれの平均値を取ればいいでしょう。しかし、個別に何かの課題に対して手を打つとき、平均値と自分の数字を比べても意味がありません。コンビニチェーンのA店は、人口が過疎な地域にありながら、宅配などのサービスを積極的に行なって、1日当たりの売上が50万円だったとします。一方のB店は、人口密度が高く、なおかつ競合もほとんどない恵まれた環境の店にもかかわらず、売上がA店と同じく50万円だったとします。そして、チェーン全体の1日の売上の平均も50万円だった。A店とB店は同じ売上でも、まったく意味合いが異なるのに、どちらも平均値と比べて同じである、などと考えるのは意味があるでしょうか。

- 鈴木敏文 -

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