バランスシートの「バランス」とは、よく言われる平衡・つり合いではなく「残高」のことです。ところが、アメリカの専門学校の簿記教科書を福沢諭吉さんが日本語訳した『帳合之法(ちょうあいのほう)』が、バランスシートや簿記を難しくしてしまったのです。資産や負債を表現するのに、debtorとcreditorを直訳して、借方、貸方という言葉を当てはめてしまいました。debtorとcreditorはもともとまったく意味のない言葉、つまり記号なんです。それなのに借り・貸しと表現したので、ほとんどの人が拒否反応を起こしてしまって、それがいまでも続いてきてしまっているのです。

- 金児昭 -

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