鳥山明先生みたいに「あの漫画だ!」とサッとわかる絵を描きたかったんですけど、自分の中では全然できていなくて。個性的で、しかも他にない新しい絵を求めて悩んでいましたが、『ジョジョ』の第一部が始まる前かな、イタリア旅行に出かけたのが大きかったんです。イタリアの美術の実物って、彫刻でも絵画でも、写真で見るよりずっとすごいんですよ。作品が醸し出す雰囲気、飾られている現場を支配する迫力。建物も、歩いても歩いても近づいてこなくて、遠近感がわからなくなる騙し絵みたいで、すごくいいんです。こういうものは日本の漫画にはないし、これを漫画にすれば、日本にも欧米にもなかったものになるのでは、と目指すものが見つけられたような気がしました。
- 荒木飛呂彦 -
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