主人の坂田芳松さんは昔かたぎの生粋の江戸っ子で、人情にも厚い人であった。私は社会の第一歩で、こうした人に会ったことは実に幸せなことで、何ものにも代えがたい収穫だった。逆境にあった私が、万一ここでも冷たい仕打ちをされていたら、果たしてどうであったろう。私は終生この主人から受けた情義を忘れることはできない。
- 早川徳次 -
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