大丸は300年の歴史の中で、過去に5~6回、経営危機に陥ったことがあります。その中でも特に深刻だったのは明治40年代の危機です。当時の経営者はその時、呉服屋から百貨店に切り替える戦略を取ったんですね。呉服屋としてもそれなりの規模がありましたから、当然、取締役の意見は真っ二つに割れました。何度も議論を重ねて、最後にはトップの決断で、呉服店から百貨店に切り替えた。当時、世の中には呉服屋がたくさんあったわけです。けれどもいま残っているのは、我々と三越さん、伊勢丹さん、高島屋さんくらいでしょう。呉服屋であることに拘泥したところは、ほとんど消えてしまった。同じように、いまの我々もお客様と共に変わらなくてはならない。永遠に変わり続けなければ、生き残れないと思っています。

- 奥田務 -

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