お前たち(佐久間信盛)親子が5年在城の間に、善にも悪にもなんらの働きがないということを、世間で不思議がっているが、自分などもそれに気がついて、なんともいいようのない嫌な気持ちがしている。大坂の石山に頑張っている本願寺門徒を大敵と思って、ことさらに戦いも仕かけず、そうかといって、また、講和しようともせず、ただ、石山と向い合っているお前たちの居城天王寺の砦を堅固に構えて、幾年も日をすごしたならば、相手は武人ならぬ長袖のことであるから、ゆくゆくは信長の威光をもって退去するであろうからと、そう思って手加減をしているのであろうか。しかし、武者の道は、また別段なものであるから、このようなときに、勝負の道理をよく考え、一合戦やったならば、ひとつは信長のために、またひとつにはお前たち親子のために、下々の兵卒どももかえって苦労をまぬがれ、まことに思うようになることであろうに、思い切った分別もつかずにいたことは、未練の振る舞いに相違ない。

- 織田信長 -

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