古今東西の「あの世」のことを調べていて、気づいたことがあります。それは、地獄の様子は場所とか民族とかによって様々異なっていて、それぞれ迫力と現実感に満ちているのに対し、天国の方は世界中ほとんど同じだということです。実に単純なんだ――天国には美しい川が流れ、薄物をまとった美女がいて、美味しそうな食べ物が溢れている。環境が悪くなったのに目をつぶれば、まさに長い不況で暗く沈んだいまの日本こそ天国じゃないですか。それなのに現代人たちは、悲壮な顔をしてあくせく働いています。
- 水木しげる -
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