150km/hの豪速球を投げられるピッチャーでも、そればかり投げていると、バッターは目が慣れてきます。その結果、結構ポンポンと打たれてしまう。スポーツライターをしていた当時、オリックスに星野伸之というピッチャーがいました。星野選手のストレートは最速でも130km/h台。一軍の投手の中では一番遅いくらいです。ところが、「いてまえ打線」と呼ばれた近鉄の中村紀洋選手やタフィ・ローズ選手に取材をすると、驚いたことに、口をそろえて「一番速い投手は星野さんだ」と言うのです。最初は冗談かと思いました。星野選手は80km/h台の超スローボールも投げることができたので、球速に50km/hもの緩急をつけることができ、それで打者には球が速く感じられたというわけなのです。それくらい、緩急をつけるというのは大事なことなのです。

- 乙武洋匡 -

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